「ココロカラ」とは
こんにちは。
健康アプリを紹介する「デジタルヘルスのアプリケーションをひたすら紹介するブログ」です。
早速漏れてました!
というか見つけました、ResearchKitのアプリケーションのことです。
通算92回目、ResearchKitのアプリケーションとしては15個目のご紹介となります。
さて、本日は千葉大学医学部整形外科学が開発された腰痛持ちの方のデジタルヘルスのアプリケーションである「ココロカラ」を紹介させて頂きます。
腰痛に明確な定義はないのですが、一般的には「一番下のあばら骨とお尻の間に起きる痛み」と言われております。
発症して4週以内のものを「ぎっくり腰」と言われる急性腰痛、3ヶ月以上のものを慢性腰痛と言います(その間は亜急性腰痛)。
急性腰痛の原因として以下のものがあげられます。
- 腰部椎間板(ようぶついかんばん)の断裂
- ヘルニア、腰部椎間関節症(ようぶついかんかんせつしょう)
- 腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)
また、慢性腰痛の原因はいかのものが挙げられます。
- 腰部椎間板ヘルニア
- 変形性脊椎症
- 椎間関節症
- 骨粗鬆症
- 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
- 脊椎術後腰痛(せきついじゅつごようつう)
厚生省国民生活基礎調査によると日本においては1,000万人を超える方が腰痛症を患ってらっしゃり、1000人あたりの患者数は90名を超え疾患群の中では患者数が最も多い部類の疾患です。
アメリカの研究ではアメリカ人の85%は罹患しており1,000億ドル/年以上の治療費が費やされており、大きな社会問題となっております。
それでは、「ココロカラ」を見ていきましょう。
ココロカラの主な機能(公式サイトから引用)
腰痛セルフケアアプリ 『ココロカラ』
本アプリは千葉大学整形外科が開発した日本初の認知行動療法による腰痛セルフケアアプリです。患者さんの回答内容に基づいて最適な生活改善アドバイス・レクチャーや腰痛に有効な全身のストレッチトレーニングの動画を自動提供し、多くの患者さんの腰痛予防と行動変容に役立て、さらに身につけるiphone端末を用いて、日々の活動量(歩数や歩幅)、立つ・座る等の動作について、診察以外でも患者さんの状態を診ることが可能となり、かつてない大規模な腰痛調査が可能となります。フィードバックにより慢性腰痛の予防・改善支援につながることが期待できます。
●研究目的
腰痛の生涯罹患率は85%と報告され、厚生労働省の報告においても、腰痛は男性1位、女性2位にランクされる国民愁訴です。少子高齢化に伴い、高齢者の慢性腰痛の増加、財源・マンパワー不足により、遠隔医療のニーズが高まっております。
認知行動療法(Cognitive behavioral therapy: CBT)は、行動療法(学習理論に基づく行動変容法・理論の総称)と認知療法(認知や感情に焦点を当てる心理療法)とを併せた治療法であり、うつ病、パニック障害、不安障害などに効果があると言われております。 CBTは慢性腰痛の治療においても高い治療エビデンスがありますが、治療には時間・コストがかかりCBT治療を受けている患者さんは少ないのが現状です。CBT腰痛セルフケアアプリを用い、全国どこでも気軽に・低価格にCBT腰痛治療が受けられ、医療費削減にも貢献でき有望な腰痛治療法になると期待できます。
●データ収集
本アプリでは「ResearchKit」と呼ばれるApple社のフレームワークを利用しています。これまでの医学研究は、研究協力者が病院や研究所に出向いて参加するのが通常でした。ところがこのフレームワークを使ったアプリなら、世界中で何億人もの人が携帯するiPhoneを利用して、自由に臨床研究に参加していただき、効率的な医学的情報の構築を可能にします。
本アプリはResearchKitフレームワークを採用したアプリで、研究に参加いただく方にはアプリ上の様々な質問票にご回答いただきます。
またiPhoneには、加速度センサーなどの高機能のセンサーが搭載されています。本研究では、これらのセンサーによって収集・データ解析し、慢性腰痛の日常生活を評価します。
さらにiOSのヘルスケア機能と連動し、心拍数データをアプリに読み取りさらに詳細な分析を行います。
●対象
下記の全てを満たす方が対象です。
– 日本在住の方
– 日常会話で日本語を使用される方
– 17歳以上の方(腰痛患者さんだけでなく、健常な方もご参加いただけます)
– 本研究の主旨・内容を十分に理解し、本人の自由意思による同意がアプリケーション上で得られた方
– iPhoneをお持ちの方
●プライバシーと安全性
収集されたデータは、個人が特定できない形で保存されます。
機密保持に万全を尽くし、外部に漏れないように取り扱います。
収集したデータを本研究以外の他の目的に使用することはありません。
研究協力者にいかなる利害も発生しません。
研究参加に際して、費用負担は発生しません。
本研究は千葉大学附属病院倫理委員会で承認された臨床研究です。
研究説明内容をご理解いただき、同意の署名の上、ご協力をよろしくお願い致します。
Appstore:3.8(3件) ※2021年6月現在
スマートフォン、タブレット、PC対応
「千葉大学 運動器科学革新医療創成寄附講座」について
スタッフ:江口 和特任准教授
廣澤 直也特任助教
慢性腰痛に対する認知行動療法治療アプリの開発
(1)研究内容
少子高齢化に伴い,高齢者の慢性腰痛の増加,財源・マンパワー不足など,超高齢社会の医療に対応するため,遠隔医療・AI・IoTのニーズが高まっております.認知行動療法((Cognitive behavioral therapy: CBT)は慢性腰痛の治療においても高いエビデンスがありますが,治療には時間とコストがかかりCBTを受けている患者は少ないのが現状です.米国ではCBT治療アプリによりうつ病の改善を認めたと報告があります.しかし本邦では,CBTを取り入れたアプリは皆無です.CBT技法を組み入れたセルフケア可能な腰痛アプリを作成すれば,全国どこでも気軽に・低価格にCBT腰痛治療が受けられ,医療費削減にも貢献でき有望な腰痛治療法になると期待できます.千葉大学・公認心理師・清水啓介先生と慢性腰痛治療のためのCBT簡易Webフォーム作成し共同研究を行なっております.
(2)何の役に立つ研究なのか?
身につける端末を用いることで,診察以外でも患者の状態を診ることが可能となります.またかつてない程大規模な腰痛調査が可能となり,フィードバックにより慢性腰痛の予防・改善支援につながることが期待できます.
(3)今後の計画
アプリを用いて医学的に効果が認められれば,今後,医師が保険収載されたアプリとして処方できる可能性があります.2020年5月にAppleのApp Storeにスマートフォンアプリ腰痛セルフケアアプリ『ココロカラ』を公開リリース(図1)し,慢性腰痛の治療と全国大規模横断研究を開始する予定です.さらに介入試験,治験を経て,医学的エビデンスを蓄積し,慢性腰痛に対する新医療機器として,薬事承認を得ることも視野に入れ研究を続けてまいります.
コメント